夏の暑さからも解放され、秋の空気を肌で感じられるこの季節。
秋から冬への気温変化と共に、日の入りまでの時間が急激に早くなります。
この秋の夕暮れ時に発生する歩行者の死亡事故が通年で最も多いことはご存じでしょうか?
今回は、事故の傾向から読み解く、『秋の交通事故対策』をポイントでご紹介します。
毎年、交通死亡事故は、秋から冬の夕暮れ時に増加しています。
原因としては、主に以下のような理由があげられます。
①日没時間が急激に早くなる
②周囲が暗くなるまでの時間が短くなる
③歩行者や自転車が見えにくくなる
人の目が暗闇に慣れるまでには、30~40分程度かかるといわれています。
あっという間に周囲が暗くなる秋~冬は、さまざまな現象が重なり、クルマ、歩行者・自転車、双方の発見が遅れることで、死亡事故につながっています。
では、1日を通じて、実際の交通死亡事故には、どの程度の差があるものでしょうか?
時間帯別で死亡事故発生件数を比較してみると、死亡事故の発生件数は、17~19時の時間帯に突出して多く発生していることが確認できます。
この時間帯は、季節や地域による差はありますが、日が落ちていく「夕暮れ時」と重なります。
警察庁では、日の入り前後1時間の夕暮れ時を「薄暮時間帯」と呼び、事故の多い時間帯として注意喚起をしています。
さらに、この薄暮時間帯のみに絞って比較してみると、薄暮時間帯のみの死亡事故発生件数は、9月に急激に上昇し、10月~12月、さらに多く発生する傾向にあります。
16時~17時という時間は、学校や仕事からの帰宅時間帯となるため、家路に向かう歩行者や自転車の増加と重なることから、死亡事故発生件数が増えているということがうかがえます。
では、季節に起きる死亡事故は、どう防ぐことができるのでしょうか?
夕暮れ時の事故は、急速に暗がりが拡がり、死角が増えることで発生します。
そのため、回避するための対策は、
①早目のライトオンで死角を減らす
②思い込みによる判断を避ける
③視界が悪いことを十分に認識した運転を意識する
上記の3点を気を付けるだけでも、軽減することができます。
日が落ちてきたと感じたら、早め(薄暗くなる前)にライトを点灯することが有効です。
ライトを早めに点灯することで、視界を確保し、いち早くクルマを歩行者や自転車に気づかせることができます。
また、近年、オートライト機能付きのクルマの普及も進んでいます。
ですが、JAF(日本自動車連盟)の検証結果によると、点灯タイミングには、車種により約28分もの差があります。
そのため、オートライトに頼るのではなく、 「少しでも暗くなったら早めのライトオン」 を心がけるようにしましょう。
運転していて最も危険な考え方は、周囲の状況を都合よく予測した「だろう」運転です。
「ライトを点灯していれば、対向車や歩行者が気づくだろう」
「近くの歩行者は、前を向いているため横断歩道は渡らないだろう」
暗がりの場合、視認性も落ちるため、少し注意を怠るだけで大きな事故に繋がります。
運転中は、「歩行者が、次の角から現れるかもしれない」といった、危険予測をしながら余裕を持って運転することが大切です。
暗がりでは、明るく目立つものやヘッドライトで明るく照らされた場所に視線が行きがちになります。
そのため、 夕方の時間帯は、意識的に暗がりや物影を注意し、運転をするようにしましょう。
そうすることで、歩行者などを確認しやすくなり、意図しない接触等も未然に回避することにもつながります。
秋の交通安全運転期間は終わりましたが、
自動車、自転車、歩行者、それぞれが正しくルールを守るよう心がけましょう(^^)